ライブレポ後日譚 “大佐の珍道中日記part2”

 part1で記した廃業寸前のホテル(?)で夜を越し、朝ごはんを食べた後にまだ痛い足を引きずりながらどうにかホテルをチェックアウト、単身大阪駅へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 外は恐ろしい寒さだった。ホテルを出て間もない頃から危惧していたのだが、その日は東京で大雪の可能性が示されていた。本格化する前になんとか帰りたいと願いながら、急ぎ足で大阪駅へ向かうが、道中なぜだか足の痛みがひどくなってきてスピードがグンと下がるという始末。焦りと不安ばかり募りながらも、どうにかたどり着いたのは11時過ぎのことだった。

 

 

 

 予定では、12時の便の高速バスに乗って東京へ帰る手はずだったが、肝心のバスが待てど暮らせど一向に来ない。さすがに空恐ろしくなってきたところで携帯を見ると、案の定、バスの運営会社からメールが届いていた。

 

 簡素極まる文面は、要約するとたったの一行、「運休になりました☆」……メールが来たのは11時55分、出発の5分前であった。思わず頭を抱える。

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、いつまでも嘆いているわけにはいかない。何と言っても次の日には、僕は普通に仕事が控えている。それに今日を逃せばおそらく大雪の影響でしばらく東京へ近づけないことが予想されていた。

 同じ地に住んでいる友人に連絡して、現在の雪の状況を聞いたところ、一言「ヤーヴァーヴァヴァイ」。そろそろ泣きたくなってきた。

 

 

 

 

 涙と、いよいよ本格的になってきた足の痛みをこらえながら、僕は再び電車に飛び乗った。この時点で僕に残された選択肢はたった一つ。それすなわち

 

 

 

 

 

 

 

 

「飛行機で帰るのじゃ〜〜〜〜(のじゃロリ風)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………自分で表記しておきながら腹が立ってくるが、決して安くないお金を払って飛行機で帰る、という方法しか、僕に残された道はなかった。

 

 

 

 

 

 

 予約自体は文明の利器、インターネットで済ませておいたため、僕はその足で関西国際空港へ向かってチェックインするだけでよかった。

 

 中学校の修学旅行以来訪れたことのないこの空港へ向かうため、電車を降りた後にチケットを持たないまま特急電車に飛び乗り、当然のように僕の前に現れた乗務員に対して「かくかくしかじかで何一つ持ってない」と開き直って説明し、その場で特急料金を支払ってチケットを発行してもらった。空港に着くまでの10分程度さえ大きな大きな不安にさいなまれつつ、どうにか空港へたどり着くことに成功する。

 

 

 

 

 

 ついた空港でも時間が惜しかったから、そのままCAさんの窓口に向かい、「かくかくしかじかで予約しかしてない」と開き直って説明し、その場で料金を支払ってチケットを発行してもらった。その際、なんとも美しいCAさんから恐ろしい一言を言い渡される。

 

 

 

 

 

 「大雪の影響でたどり着かない可能性があるのヨーーーーン♡その場合ここに舞い戻ってくるから覚悟してネーーーーン♡♡」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 貴様ぁ、それは誠か。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな心境に陥りながらも、なすすべのない僕は痛い足を引きずってモスバーガーに向かって腹ごしらえ。大阪にまで降ってきた雪を眺めながら食すバーガーは全く味がしなかった。へえーバーガーって味がしないんだねぇーーアッハハハァーーーーなんつって意識が飛びそうになるのをかろうじてこらえつつ、意識を保つため友人にメールを送るのだが、友人も忙しいのか応対が至極塩対応である。

 

 何せこちとら慰めて欲しくて「帰れない〜〜助けて〜〜〜」と打っているのに友人ときたら「ああタクシーだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………、、、ええ、あにょぉ、、ンマ、マヂでおっしゃっておいでで???????

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 彼奴は全くあてにならんと早々に見切りをつけて、重くて痛い足を引きずり空港のゲートをくぐり、顔を歪めながら1時間も早く出発ゲートにかじりついてひたすら待つ。待つ。待つ。寝る。はっと目が覚める。待つ。待つ。待つ。。。。。。。。。

 

 

 

 

 気が遠くなりそうな時間を待ち、とうとう出発の時刻になった。15分程度遅れての出発。飛行機にて、神に祈りながら離陸の時を迎えた。

 

 

 

 

 

 結論から言えば、無事羽田空港にはたどり着くことができた。

 

 ただ、ここからが本当の地獄だった。

 

 

 

 

 

 

 疲労と痛みでふらふらのまま羽田空港にたどり着いた僕は、ろくな思考もままならないままリムジンバスのチケットを買い、外に出た。

 友人のいうとおり、15時時点でおぞましいほどの猛吹雪。寒さに震えながらリムジンバスの到着を待ち、そのまま乗り込んだ。

 

 

 

 

 

 

 ここで少し考えてもみて欲しい。その時の東京は大雪である。大雪の日は交通網が麻痺をすると相場が決まっている。こと高速道路などちょっと考えれば、この後僕が直面する事態なんてすぐに思い浮かぶ。

 

 だが、この時の僕はそこまで思考が及ぶほど元気ではなかった。そして、直面した。

 

 

 

 

 

 

 

「大☆渋★滞」。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「えー皆さまぁ、ただいまバスは、トンネルデェ、止まっておりますわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 嘘みたいに適当な乗務員のおじさんのアナウンス。そんなもの、外を見れば一目瞭然である。

 

 速さが売りのリムジンバスが、薄暗いトンネルの中で止まったまま一ミリたりとも動かない。これはもはや暴力である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 トンネルに閉じ込められた。この事実に僕が気づいたのは、事態が起こってから1時間後のことだった。そしてその事態を脱却したのはそこからさらに4時間後のことであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「えー皆さまぁ、本日わぁたいっへんもーしわけございませんっしたぁぁ。ここに来るまでぇ、5時間半かかっておりますわぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 どう見ても50代も半ばに差し掛かったとしか思えないのに、言っていることはどこぞの金髪チャラ男そのものであるおじさん。よせばいいのにかかった時間まで丁寧にアナウンス。タ・メ・イ・キ☆

 

 

 

 

 

 

 

 ごちそうさまでした。もうお腹いっぱいです。ていうか吐きそうです。どうか、どうか助けてください。。。。。。。。。。

 

 

 

 

 

 

 

 こうして、僕の悪夢のような珍道中は無事(????)幕を閉じ、僕が家にたどり着いたのは23時頃。薄れゆく意識の中、僕はただただ安心に包まれていた………。

 

 

 

 

 

 

 

 (後日、あまりに痛いので整形外科で足を見てもらったところ、湿布と薬を処方されました。現在はほぼ寛解しております)