“街”について

 僕は普段、自分の作品、特に楽曲を作るときには、自分の中に架空の“街”を作って、そこで起こる人々のそれぞれを切り取って作品にしています。

 

 誰得情報であると知りつつ、このページではその“街”や、楽曲に登場などをしたその人々に関する自分の中での設定を書いていこうと思います。いわば設定集になります。

 

 

 

 

 

 【“街”とは?】

 

 

 僕の中での“街”というものの定義は、「人びとが住んでいる架空の町の一角」と言う意味合いで使っています。

 

 この人びとが住んでいる町と言うのは、実は自分の中でちゃんとした名前があって、「なんだ町」という場所になります。アルバム「Cakes And Stroke」は当初、この町の名前をつけた「なんだ町奇譚集」と言うタイトルをつけようと思っており、後になるまで結構悩みました…そんな経緯があったりもします。

 

 

 なんだ町の情報として、全体的にそれほど大きくはなく、人口もそれほど密集している場所ではありません。海に面した港町であり、町の漁師が漁に出たり、昔ながらの商店街もあったりします。町の一角ではドン・レボが建築事務所を営んでいたり、Mr.タイニーが居候している相棒君の家があったりと、楽曲に登場した人々のそれぞれの生活が営まれていたりします。それらについて、以下で語っていきたいと思います。

 

 

 

 

“なんだ町”の人たち

 

『ドン・レボ』

 

  

 なんだ町の一角にある、「なんだ商店街」の中に位置する建築事務所、「ふれあい建築事務所」。その事務所を経営、切り盛りしている社長がドン・レボです。本名は不詳ですが、おそらくレボが名前です。

 

 小ぢんまりとした事務所であるため、従業員の数としてはドン・レボと部下の飲兵衛くんを合わせても十数人程度ですが、ドン・レボの連日の営業努力(実際にはただの酒盛り)に加え、なかなかに仕事が早く、また客に対する丁寧な応対が功を奏して、地元では信頼の置ける建築事務所として、顧客満足度はかなり高く、リピーターも多い有名な事務所です。

 

 

 

 ●ドン・レボ

 

 年齢は40歳前後の若手社長。若い頃は結構やんちゃをしていたようであるが、現在その片鱗が見えるのは酒盛りの時のみ。建築事務所から徒歩5分の距離に位置するショットバー「ザ・ヴァー」の常連客で、毎日のように他の社長や部下の飲兵衛くんを連れ回している。

 

 酒宴の際にとる破天荒な態度から、相当な荒くれ者であると勘違いされがちだが、酒癖の悪さ以外はいたって普通の常識人であり、シラフの時の応対には定評がある。仕事も早く、事務所設立時は誰よりも早く出勤して、誰よりも遅く残っているほど仕事熱心でもあった。また背も高く、顔立ちも端正であることから地元の奥様からの評判も高いが、本人は結婚しており、共働きの妻と、二人の娘を養う父でもある。

 

 

 

 ●飲兵衛くん

 

 「ふれあい建築事務所」に勤める25歳の事務員。気弱な一面があるが、仕事は丁寧かつテキパキとしており、子供にも優しい好青年である。遠く離れた片田舎からなんだ町へ進学のために引っ越してきたため、未だに一人称が「オラ」であり、また就職を機に若者言葉を覚えようと書籍を活用して必死に勉強した結果、「〜ッス」という言葉のみ自分の中で定着してしまい、一人称と相まって変人の雰囲気を醸し出してしまっている。

 

 他の従業員が誰も行きたがらないドン・レボの酒宴に毎回のように付き合わされている。本人は「ドン・レボが怖いから」と表向き同僚には話しているが、実際には社長であるドン・レボを尊敬しており、酒宴に付き合っているのも彼の人柄に惹かれているからである。

 

 

 

 

 

 

 

 『Mr.タイニー』

 

 

 地球から遠く離れた惑星「84ゼット星」からの旅の途中に、飛行船の不時着でなんだ町に流れ着いた宇宙人「Mr.タイニー」と、ひょんなことから彼を見つけてしまったなんだ町の高校生、相棒君こと上尾修介の“街の話”です。ちなみに僕の愛読書「ダレン・シャン」の中で、物語の鍵を握る人物として同名の人物が登場しますが、ここで断固宣言しておきたい。パクったんじゃない、かぶっただけである(すみません通じませんね申し訳ございやせん。。。。。。。)

 

 

 

 

 ●Mr.タイニー

 

 「84ゼット星」の住人であり、なんだ町の住人からすると「宇宙人」に当たる。背丈は10センチと人の肩に乗るほどであり、地球人と比べるとあまりにも小さいが、怪力の持ち主であり、またどういうわけか他の人間に「憑依」してその人間を意のままに操ることができると言う、恐ろしい能力を持っている。ただこの能力を使う相手は相棒君のみであり、からかい半分にしか使っていないため他の人間に危害が加わることは(今の所)ない。

 

 飛行船の不時着でなんだ町に流れ着き、偶然出会った上尾修介くんの家に転がり込むこととなった。それ以来たまに修介君の高校にちょっかいを出しに行ったり、「ザ・ヴァー」にてドン・レボと酒盛りに興じたり、頻繁に修介君に絡んだりと迷惑千万なことをやってのけているが、根は優しく、居候している上尾家には常に感謝の念を抱いている。

 

 金髪のオールバックであり、84ゼット星で買ったサングラスをかけると言った派手派手しい見た目をしている。

 

 

 

 ●上尾修介

 

 なんだ町の高校に通う高校二年生の男子高校生。おとなしく落ち着いた性格であるがゆえに、Mr.タイニーから頻繁に絡まれていると言う可哀想な毎日を送っている。

 

 薬剤師の父と大学の研究員である母との間に生まれているため、勉強はそこそこできる。しかし運動は苦手と言う典型的な文系タイプ。Mr.タイニーについては最初こそあまりよく思っていなかったものの、現在では文句を言いながらも悪く思っておらず、たまにMr.タイニーを研究対象にしようとする母から守るといったこともしている。

 

 中学時代に仲の良かった女子がいたが、いじめられているところを助けたが故にいじめの対象が修介くんに移り、三年生から高校進学にかけては散々な生活を送っていた。現在その女子とは疎遠になってしまっているが、同じ高校に通ってはいる。またその女子は高校生モデルとして忙しい毎日を送っているため、たまに知り合いであるということで友人から紹介をせがまれることもあるが、本人は知り合いであることを否定している。

 

 

 

 

 

 

 

 『終末逃避行』

 

 

 

 なんだ町の一角にある歓楽街、大人の欲望が渦巻く地域。そこで自分の“春”を売ってその日の生計を立てている女性と、余命いくばくもない体を抱えながら、なんだ町ではないどこか遠くへ行きたいと願っている少年。その二人の出会いと、やがて決心して敢行するつかの間の逃避行を描く“街の話”です。

 

 

 

 ●高谷 凛

 

 なんだ町の歓楽街にある「大人のお店」で働き、連夜訪れる客に対して自身の“春”を売って生計を立てている23歳の女性。幼少期は幸せな生活を送っていたが、ある日父親が不倫の末蒸発し、残された母とその日暮らしの生計を立てていたが、間も無く母も病死、親戚宅を転々とする。連日罵られた挙句、高校を卒業した後に口べらしにと家を追い出されるが、行くところもないままあてもなく夜の町を歩いていたところに、ホスト風の男に勧誘されて“大人の世界”に身を投じることとなった。その後、偶然店を訪れた斗真と出会い、惹かれ合う。

 当初は自分の人生に対して諦めしか持っていなかったが、斗真と出会い、交流していく中で、生への希望を見出していく。やがて遠くへ行きたがっている斗真に、「終末逃避行」をしようと持ちかけ、なんだ町を出る。

 

 

 ●秋村 斗真

 

 なんだ町にある大学病院に入院中の高校1年生の男子。頻繁に病院を抜け出して町を徘徊しているが、体は病気に冒されており、医師から余命宣告を受けている。

 幼い頃から病気と闘っているため、一向に治らない自分の病気や状況に対して諦めを抱いている一方で、その根底では生への途方もない渇望を抱いている。ある日に病院を抜け出し、偶然迷い込んだ歓楽街にて、ボーイに誘われるがままに店に入れられ、そこで凛と出会い、綺麗な容姿とどこか人生を諦めたような態度に共感を覚え、惹かれる。

 病院、ひいてはなんだ町から出たことがないため、外の世界を知りたいと強く願っており、ここではないどこかへ行きたいと頻繁に口にしている。その言葉に感化された凛から「終末逃避行」を持ちかけられ、それに乗る形でなんだ町を出るが、その途中で病魔が襲う。

 読書が趣味であり、難しい言葉をよく知っている。また、勉強熱心であるため、頻繁に抜け出す割には院内学級では人一倍真剣に授業を受けている。

 

 

 

 

 

 

 『花、葬送』

 

 なんだ町における過去の“街の話”です。唐突に不治の病に罹患して入院を余儀なくされた高校生の少年と、入院先で出会った名前も知らない、同じ病気に罹患している患者たちとの交流と、生きる希望を見出しつつもやがて一人一人死んでゆき、最後に残った少年と、少年が恋した少女との交流とその後を描きます。

 

 

 

 ●少年

 

 高校生。ごく普通の日常を暮らしていたところ、唐突に不治の病に犯され、衰弱していく。入院先で出会った患者たちとの交流を経て、自分の中に生きる希望を見出していくものの、一人、また一人と病気に犯され死んでゆく光景を目の当たりにして絶望していく。最後に生き残った自分と、同じ病気に犯されている少女との交流を重ね、「最後まで生き抜こう」と約束するものの、やがて少女も願い叶わず死んでしまい、一人生き残る。少女の墓の前で、遠い景色に咲いているような自らの「最後の姿」を見て微笑む。

 

 

 ●少女

 

 少年の恋の相手。少年と同じ病気に犯されている。前向きな性格であり、気丈に振る舞って同じ入院先の仲間を励まし、共に生きるための希望を提示していくが、自身も段々と衰弱して行っていまう。二人生き残った後、少年と「最後まで生き抜こう」と約束を交わすものの、願い叶わずに他界。生前に少年に宛てて書いた手紙を医師に託し、家族の意向で故郷の山奥に墓を立ててもらう。

 

 

続く。。。。。。。。